第1回 目黒不動尊(江戸五色不動)




江戸五色不動とは平直方の「夏山雑談」(寛保元年)によると、時の慈眼大師天海が 江戸城鎮護のために不動明王像を造立し、王城鎮護の四神にならい江戸城の四方に 配置したのが始まりとされます。それが目黒・目白・目赤・目青の四不動です。 これを後になり徳川将軍家光が、四不動に目黄不動を加え五つの不動尊として 「五眼不動」としてまとめあげたとのことです。以後江戸五色不動として広く知られる ようになったとされますが、この五色とは「目」にあるのではなく、東西南北中央の 五方角を色で示したというのはあまり知られてないかもしれません。
(関東三十六不動霊場ガイドブックによる)




目黒不動は、東急・東横線の目黒線にて不動堂前で下車する。 不動堂前は、東横線の渋谷から田園調布で乗り替えをするのがよい。 駅は小じんまりとした閑静なところだ。 改札を出ると、目の前は小さな商店街であるが、ふと近くの 電柱に目を向けると「五百羅漢寺」という看板を見つけたが、 肝心の目黒不動の標識らしいものは見落としてしまった。 とりあえず人が流れており、お寺があるのだからこちらだろう と考え、駅前の商店街を五百羅漢寺の方に左へ入ることにした。 そのまま商店街の中を進みほぼ百メートルぐらい歩いたであろうか、 右手には牛丼で有名な松屋があり、前方に大きな交差点が広がった。 どうやら流れている人は、皆初詣に行く人のようだ。 どちらに行こうか一瞬迷ったが、人の流れについていこうと考え、 信号を渡り、正面の道路をまっすぐ歩くことにした。 そのまま歩き、左の方をながめると大きなマンションが 立ち並ぶ。この付近、同じ東京都と言っても都心の新宿や さてまた下町の浅草などともかなり違う。ゴミゴミしたところが 全くなく、とても静かで住みやすそうなところである。 やはり東京でも高級住宅街と言われる田園調布に近いだけの ことはあると思った。
目黒不動尊門前通り
さて、交差点から200メートルぐらいまっすぐ歩いたであろうか。 まだ目的地の目黒不動は見えず少し不安にかられたが、とりあえず人の流れに ついて行けば大丈夫だと安易に思い、そのまま歩き続けた。
すると 目の前に「目黒不動尊門前通り」なるアーケードが見え、小さな商店が建ち並ぶ商店街が広がった。
徐々に歩いている人も増えてきたよう な気する。そして数十メートル進んだであろうか、地元のお寺であろう、 右側に「不老山・成就院〜たこ薬師」>なるお寺を
見つけた。


たこ薬師それ程大きなお寺ではないが、 前面には地蔵様が立ち並び、地元の人であろう、数名お寺に入っていった のを見て、参拝することにした。壁の看板には「ありがたや。福をすいよせるたこ薬師」とある。どうやらこのお寺、病気平癒の仏様らしい。参拝を終え、そのまま商店街の中をまっすぐ進むと、今度は「五百羅漢寺」 の看板が右に見えたが、こちらもお参りしようかと思案したが、 今回は時間もないことから止む無く断念した。門前町の商店街にありがちな お団子屋などが並ぶ良い雰囲気の街並だと思いながらも、まわりの 雰囲気を楽しみながらそのまま数十メートル歩くと商店が途切れ、今度は T字路に当った。右の方に目を向けるとようやく数十メートル先 に目的地である目黒不動の山門が見えた。


目黒不動・山門

駅からは10分ぐらい歩い たことになる。 初詣客であろう、目の前の狭い道路の山門の周りは人がごった返しており、 あの駅前の閑静さは何だったんであろうか、交通誘導の警備員さんが 一生懸命ごった返す多くの車と人を必死に誘導していた。水かけ不動 たくさんの人を掻き分け立ち並ぶ露天商の中を進むと、前方に大きな階段が 見え左側に泉らしきものがあり、その中心に「水かけ不動」なるお不動様があった。 全長3mぐらいであろうか、グレーの石で作られた立派なお不動様である。 多くの参拝客がお不動様の前に並び、最前列の人はお不動様に水をかけ、 真面目に手を合わせ祈願していた。この泉は、「独鈷の滝」と呼ばれ、 当山開基のの慈覚大師が堂宇建設の敷地を定めるに当り所持の独鈷を投じ、 落ちたところから瀧泉が湧き出たたところに由来すると言われる。 また泉は開山以来千百有余年絶えず湧き続けていると言われ、 不動行者の洗心浄魂の場として、また一般の人にまで広く厚い信仰の対象 となっているとのことである。並んでいる人の後に付き水かけ不動様に 手を合わせ祈願を済ませ、右横の階段を上ることにした。目黒不動・本堂

すると見事な本堂が、上りきったところ正面に現われた。左手には社務所があり、 お札やおみくじなどを販売していた。正月で人が集まるからなのであろう、 いも羊羹で有名な舟和が臨時店舗を構えていた。手を清め、本堂前の階段を 上がりいよいよ参拝。境内は人でごった返しており、本堂中では読経がおこなわれ、 多くの人が正座しお祈りをしていた。目黒不動の開基は、天台座主第三祖・慈覚大師 円仁とされる。同不動は、大同3年(808年)大師がまだ15歳の時、師の広智阿闍梨 に伴われ比叡山へ登る途中、目黒の土地に立ち寄り、その夜に不動明王の霊夢を感じ、 自らその尊像を彫刻して安置したことに始まると言われる。その後大師は比叡山に登り 伝教大師最澄の弟子となり天台の教義を研究されたが、唐の長安に渡り、長安の清龍寺 に詣でて本尊の不動明王を拝すると、かつての目黒の霊夢に現われた不動明王の御姿に 酷似しているのに驚き、感涙し、帰朝して再び目黒の地に渡り、堂宇の建設に着手した のが由来だとされる。 精霊堂
それにしても今日は、冬晴れのとても気持ちの良い日であった。 無事参拝を済ませ、再度階段を降り、左手の精霊堂で手を合わせ、山門前に 止まった都営バスに乗り、渋谷に出て帰路についた。 (編集:コンガラ童子)








◆目黒不動◆

住所:東京都目黒区下目黒3-20-26
電話:03-3712-7549
アクセス:@東急目黒線・不動前駅より780m
AJR山の手線目黒駅より1キロ
BJR山の手線渋谷・恵比寿・五反田の駅より
バス72系統、不動尊境内下車すぐ



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