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第二回 目青不動尊(江戸五色不動)


江戸五色不動の一つである目青不動は、三軒茶屋で下車する。 三軒茶屋は、渋谷駅から東急・新玉川線で二つ目の駅である。 駅は、日本でも代表的な繁華街である渋谷と鼻の先の距離にあるだけ あり、いつも人で賑わっているようだ。車を乗る人は知っているで あろうが、よくラジオの渋滞情報を聞いていると必ず出てくる町である。 東京の人は、三軒茶屋のことを三茶(さんじゃ) と言ってこよなく愛している有名なところでもある。 本日も駅前は多くの車と人々でごったがえしていた。


大山碑 地下の駅改札を上ると大きな交差点が目の前に広がるが、その真ん中に 近代的なビル群に囲まれるように ひとりポツリとお不動様の石佛が窮屈そうに構えていた。 何なんだろう?おそらく昔、この道を歩く人々の道中の無事を見守って 下さった仏様かもしれない。







大山碑 調べてみると、江戸時代にこの地に大山道があり、 当時は丹沢の大山にある阿夫利神社へ雨乞いに行く大山詣がはやっており、 三軒茶屋の地名も江戸時代に今の世田谷通りである大山道の本道 と国道246の近道の分岐点に信楽、角屋、田中屋の三軒の茶屋が あったことに由来するとのことだ。 石佛を他の場所に移さずそのままの形でこの場所に安置されている のを見ると時代は移り変わろうともお不動様を愛する地元の人々の 厚い信仰心がうかがわれた。つくづく信仰とは時代や身分を超越した ものであると感じた。

ところで駅周辺を見回すとまず誰もが気づくのは駅のすぐ傍に 周囲の景色に不釣合いに巨大な、にんじん色のビルが建っている ことだろう。26階建てのビルであり、キャロットタワーと呼ばれる ビルである。このキャロットタワー、世田谷区の再開発事業の一環として 平成8年11月に完成したビルであるとのことである。中は商業施設 と公共施設、オフィスフロアーからなっており、屋上の展望からは 東京のみならず富士山まで一望出来ると言われ、若者のデートスポット としても夜景ファンに対しても人気があると言われる。 展望台に上ろうかとも思ったが、時間もないこともあり今回は断念した。
さて、目的地である目青不動の方角に行こうと思ったが、駅周辺の人 の何人かに聞いて見たが誰も答えられない。 地元の人らしき人を探すべくやむなく駅からキャロットタワーの前を 通り過ぎ、一つ目の角を右に曲がり東急・世田谷線の踏み切り近くで 自転車に乗った主婦らしき人を見つけ尋ねた。その女性によると お寺らしきものがあるのは知っているが、その名称までは知らないと言う。 その人の言葉を信じ、世田谷線脇の踏切を渡り、線路脇の人が通れる ぐらいの細い道の中を進んで見るとすぐ右手に目青不動なる表札が目の前に 現われた。その女性が言ったのはまさに目青不動のことであった。



江戸五色不動・目青不動 駅から5分くらい歩いたところに目青不動はある。 三軒茶屋という駅は、駅前はひどく混んでいるのであるが、少し外れると 人も少ない静かなところでもある。目青不動の近くも人もまばらで 歩く人も少ない。表札のある門の中に目を向けると遠く奥に先の尖った 三角形のユニークなお堂が見えた。すぐめざす目青不動の本堂だとわかった。





不動堂

そのまま正面の道を50mぐらい歩き本堂前まで進み、手を合わせた。 本堂の中を覗くと暗いお堂内の正面奥に下から燈明を浴びた 微笑を堪えているようにも見える妖艶な雰囲気のお不動様が こちらを見つめていた。

お不動様ご尊容 お堂周辺には誰も人がいない。ずっとそのままお不動様と対話をしていたい気が した。前回の目黒不動とは対照的なお不動様でもある。 このお不動様は、天台宗・慈覚大師円仁ご自身の作とされる。 また天上界と地上界の間にたなびく青い雲の色に 基づく不動尊であり、天と地の間の連絡をしてくれる と言われ「縁結びの不動」として親しまれ、 若い男女、特に女性からの尊崇を集めてきたと言う。
参拝を済ませ、お堂脇の朱印所で朱印を受ける。朱印所の受付に 出てこられたのは品のいい感じのした初老のおばさんであった。 「五色不動巡りですか。」と尋ねられ、うなずいたが、 その後暦と日めくりまでいただき、丁重にお礼を述べた上お不動様を 後にした。気づくと辺りはもう暗くなっていた。(編集:コンガラ童子)


◆目青不動◆

住所:東京都世田谷区太子堂4-15-1
電話:03-3419-0108
アクセス:@東急新玉川線(営団地下鉄半蔵門線直通)三軒茶屋駅・500m
A東急世田谷線三軒茶屋駅下車・450m


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