第五回 田無不動尊


東京都・西東京市の 田無山・総持寺は、 西武新宿線「田無駅」 より下車して行くことになる。高田馬場駅から田無駅へは、準急で 20分である。駅北口改札を出て階段を下りると眼前に広いバスタ ーミナルと巨大な二つの商業用ビルが現れた。西東京市は、平成13 年に田無市 保谷市が合併され新たに出来た市で あり、田無市に属した「田無」の地名の由来は、この地域一帯に「 田がない。」ということから付けられたという説が一般的だと言わ れる。田無駅前は、文字通りアスファルトで整然と舗装された近代 的な町であるというのが第一印象である。駅前周辺は 田無北口商店街で成り立っており、正面にはイトーヨーカドーのあるアスタビルとみずほ銀行のあるLIVENという巨大な二つのビルが構 えている。駅前のアスタビルの名称は、『「明」日の「素」晴らし い「田」無』を略して付けられたそうだ。
青梅街道 現在の田無駅の原型は、1990年の駅前再開発事業で 作られたと言われているが、もともと田無は、 江戸時代から青梅街道 の宿場町として栄えてきた古い歴史を誇る町である。駅から歩いて いくと近代的な町並みの中にも随所に昔の面影を残していることが 伺われ、新旧の雰囲気が見事に融合している街といえる。さて、正 面北口のアスタビルを右手に正面を進むとイエローカメラという派手な看板のあるカメラ屋 が視界に飛び込むが、








イエローカメラ その前をさらに歩くと5分ほどで 田無農協入口の交差点に出る。目的地の田無不動尊は、 その交差点と交わる青梅街道沿いにある。交差 点を右に曲がり、一つ目の田無本町の交差点を通り過ぎ、さらにそ の交差点から百メートル程行くと青梅街道沿い右手に真言宗・智山派田無山総持寺、別名田無不動尊があった。本日は、なんと境内の中で盆踊り大 会が予定されていた。








山門 入口付近に立ち並ぶ露天商を掻き分け、広目天と多聞天が安置されている 古めかしい山門をくぐると、境内の敷 地にて盆踊りのやぐらが建てられ、その準備で職人や地元の人数人がせわ しく動いていた。その周りにはけやきの木が多数生い茂っており、 それゆえ田無不動尊は、別名「 けやき寺」とも言われている。入口正面には、すぐ本堂が あるが、正面本堂にて参拝した後、お不動様の御尊容を拝見させて いただきたいと思い、右手寺務所で尋ね見た。







田無不動尊・本堂だがあいにく到着が 午後3時を過ぎてしまい、残念だったが、期待は適わなかった。 田無不動尊の草創は、中世において行基が大聖不動明王を刻んでこの地に安置した のが始まりとされる。その後元和年間に法印権大僧都・俊栄和尚がこの不動尊像を安置するために 法界山西光寺を開創した とされるが、この西光寺が田無不動尊の前身だとされる。
また天保 12年に住職恵亮和尚が、西光寺総代筆頭下田半兵衛に援助を受け、本堂を改築されたとされている。 下田半兵衛は、安政時代、凶作で当時苦しんでいた農民を救うため に「養老地」と称して土地を寄進したとされ、幕府もかような半兵 衛の功績を称え、名字帯刀を許したとされている。 本堂横にも半兵衛の功績を後世まで称えるための案内があり、堂内では半兵衛の木 像が安置されている。

下田半兵衛案内 しばらく裏手の墓地などを歩いたり、境内でぼんやりと盆踊りの 準備作業を眺めていたが、徐々に空も暗 く感じられ、帰りが遅くなると考え、お堂を後にすることにした。 (編集:コンガラ童子)












◆真言宗智山派田無山・総持寺(田無不動尊)◆

住所:東京都西東京市本町3-8-12
電話:0424-61-0044
アクセス:西武新宿線「田無駅」北口下車徒歩10分
A国道20号線(甲州街道)の上石原交差点より8.5q
B中央自動車道・調布ICより8.5q



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